「金魚」について

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きょうの名文・放送順(2006年度)の「金魚」は野口雨情ではなく北原白秋の作ではないかという情報をサーチャーさんからいただき、図書館でその本を確認してきた。(サーチャーさん、ありがとうございます。)

金魚

前(まへ)むき金魚は
でつかち頭よ。
その出目(でめ)、近目(ちかめ)で
硝子(がらす)にコッツリしよ。
コッツリしよ。

横向き金魚は
花嫁みたいよ。
真紅(まっか)な振袖
ひらひらひらりよ。
ひらりよ。

向(むか)うむき金魚は
火のよなダリヤよ、
咲きたて、燃えたて、
ゆらゆらゆらりよ。
ゆらりよ。

※括弧()付きで書いている部分は原文ではふりがな。

出典

  1. 『白秋全集 第十一巻 童謡集 第三』
    • 昭和5年12月15日発行
    • 著作者:北原白秋
    • 発行所:アルス
    • 掲載ページ:「驢馬の耳」のうち「鮎の子」のp.412~p.413
    • 白秋の後記によれば、この全集の「驢馬の耳」には以前の単行本に載せなかったものを訂正した作品や未発表作を加えているそうだ。
    • 出典を調べたついでに目次を書き写した。→アルス刊『白秋全集』の目次・抄録
  2. 『白秋全集28 童謡集4』
    • 童謡集は1~4まで。単行本初版を底本としている。初出誌紙との主な異同、アルス発行の『白秋全集』、河出書房発行の『白秋詩歌集』との主な異同を「後記」「校異」に載せている。
    • 1987年9月7日発行
    • 定価:4500円
    • 著者:北原白秋
    • 発行所:株式会社岩波書店
    • 編纂委員:木俣修、与田準一、宮柊二、紅野敏郎、北原隆太郎、山本太郎、中島国彦
    • 本巻担当:紅野敏郎
    • 掲載ページ:「童謡拾遺」のうち「アルス刊『白秋全集』より」のp.448~p.449
    • 初出雑誌などは不明。
  3. 『白秋全童謡集 V』
    • 上記の『白秋全集』から童謡を集めた本。全5巻。第5巻には詩の他に題名・歌い出し索引、作曲者リスト、楽譜などが収録されている。初出誌紙との主な異同、アルス発行の『白秋全集』、河出書房発行の『白秋詩歌集』との主な異同はこちらにはない。
    • 1993年2月26日第1刷発行
    • 定価:4500円(本体4369円)
    • 著者:北原白秋
    • 発行所:株式会社岩波書店
    • 掲載ページ:「童謡拾遺」のうち「アルス刊『白秋全集』より」のp.30~p.31
    • 「童謡拾遺」は〔単行本に収録されなかった童謡〕
    • 初出雑誌などは不明。

問題はアルス刊『白秋全集』(『白秋全童謡集 V』には“『白秋全集』第九巻 昭和4年11月1日 アルス刊”と書かれていた)。図書館には第九巻があったのでそれも閲覧したのだが、これに収録されているのは『蜻蛉の眼玉』の「金魚」で別物。第十巻は閉架、一番載っている可能性が高そうな第十一巻は図書館に蔵書なし。

というわけで、出典の大元までは確認できなかった。アルス刊『白秋全集』は白秋自身が後記を書いているのでこれに載っていれば作者は間違いないのだが。

野口雨情の方は“絶対にない”ことを確認するのは無理だが、何冊か見た限りでは「金魚」は載っていなかった。

上記削除部分は私の読み間違い。「童謡拾遺」の「アルス刊『白秋全集』より」は“『白秋全集』第九巻 昭和4年11月1日 アルス刊”と“『白秋全集』第一一巻 昭和5年12月15日 アルス刊”に分かれていた。別の図書館で第十一巻の現物を閲覧して「金魚」収録を確認した。削除部分にも書いた通りアルス刊『白秋全集』は白秋自身が手掛けているので、「金魚」の作者は北原白秋で間違いない。

2007/02/15
アルス刊『白秋全集』の第十一巻を読んで「出典」を訂正した。